みなさんこんにちは。市川市の行徳駅前にあるまえだ小児科医院の院長、前田です。
少しずつ日差しが暖かくなり、春の足音が聞こえてくる季節になりましたね。公園で遊ぶお子様たちの元気な声に心温まる一方で、この時期になると「おめめが痒い」「お鼻がむずむずする」と辛そうな表情を見せるお子様が増えてきます。そう、本格的なスギ花粉のシーズンの到来です。
保護者の皆様の中にも、ご自身が花粉症で苦しんでおられる方は多いのではないでしょうか。毎日のようにニュースで「今日の花粉飛散量」が報じられますが、実は私たちが住んでいるこの千葉県、そしてここ市川市周辺の花粉事情について、少し誤解されやすいポイントがあるのです。
本日は、お子様を花粉から守るためにぜひ知っておいていただきたい「市川市の本当の花粉飛散状況」について、詳しくお話しさせていただきます。
千葉県の花粉飛散量は、全国的に見てどのくらい?
テレビの全国ニュースなどを見ていると、花粉の飛散量が非常に多い県として、三重県、福島県、栃木県、静岡県、山梨県などの名前がよく挙がります。これらは毎年トップクラスの飛散量を記録する地域です。
では、私たちが住む千葉県は全国でどのくらいの位置にいるのでしょうか?
結論から申し上げますと、千葉県全体の花粉飛散量は、47都道府県の中でだいたい「10位から20位台」に入ることが多いです。全国ランキングで見ると「中の上」あるいは「上位クラス」といったところになります。トップレベルの県と比較すると、少し少ないように感じるかもしれません。スギがほとんどない沖縄県や北海道などに比べれば圧倒的に多いものの、「日本で一番花粉がひどいわけではないんだな」と安心される方もいらっしゃるかもしれませんね。
しかし、実はここに大きな落とし穴があるのです。千葉県全体の「平均的なデータ」だけを見ていると、大切なお子様を花粉から守るための対策が遅れてしまう可能性があります。
要注意!千葉市周辺や北西部は「非常に飛散量が多い」エリア
千葉県は海に囲まれた半島であり、県内でも地域によって地形や環境が大きく異なります。そのため、同じ千葉県内でも「花粉の飛散量」にははっきりとした地域差があるのです。
例えば、銚子市などの海沿いのエリアは、海風の影響などもあり、比較的飛散量が抑えられる傾向にあります。しかし、私たちが住む市川市を含む「千葉県北西部」や「千葉市周辺」は事情が全く異なります。このエリアは、県内でもトップクラスにスギ花粉の飛散量が多くなる傾向があるのです。
なぜ、北西部や千葉市周辺にはそれほどまでに大量の花粉が舞うのでしょうか?それには主に3つの大きな理由があります。
1. 関東平野を吹き抜ける「風の通り道」になっているため
春先には、強い西風や北西の風が吹くことが多くなります。この風は、群馬県、埼玉県、東京都西部などの山沿いにある広大なスギ林から、大量の花粉を乗せて関東平野に吹き込んできます。関東平野は山などの遮るものが少ないため、強い風に乗った花粉がダイレクトに北西部の平野部に流れ込み、蓄積しやすいという地理的な条件が揃ってしまっているのです。
2. 房総半島からの「南風」の影響も受けるため
さらに厄介なのが南風です。春一番に代表されるような強い南風が吹くと、今度は千葉県の中部から南部(房総半島)に広がる森林地帯から発生した大量のスギ・ヒノキ花粉が、北西部の住宅地エリアに向かって一気に運ばれてきます。つまり、西からも南からも、風に乗って花粉が次々と供給されてしまう位置にあるのです。
3. 都市部特有の「二次飛散(舞い上がり)」が起きやすいため
ここが、お子様にとって一番気をつけなければならないポイントです。市川市をはじめとする北西部は市街地化が進んでおり、地面の多くがアスファルトやコンクリートで覆われています。土の地面であれば、落ちた花粉はある程度そのまま定着してくれますが、アスファルトの上に落ちた花粉は吸収されません。
その結果、車が通ったり、人が歩いたり、少し風が吹いたりするたびに、一度落ちた花粉が何度も何度も空気中に舞い上がってしまいます。これを「二次飛散」と呼びます。このため、生活圏の空気中の花粉濃度が常に高い状態になってしまうのです。
市川市は「非常に花粉が多い地域」という認識を持ちましょう
もうお分かりいただけたかと思います。ここ市川市は、千葉県北西部に属しており、まさに「風の通り道」と「都市部の二次飛散」の影響を強く受ける場所にあります。
ですから、「千葉県は全国的に見れば平均より少し多い程度だから、そこまで神経質にならなくても大丈夫だろう」という油断は禁物です。全国平均のランクはあまり当てにせず、市川市は「非常に花粉の飛散量が多く、花粉症の症状が出やすい過酷な環境である」ということを、ぜひ知っておいてください。
特に小さなお子様は、大人よりも背が低いため、地面に近い場所の空気を吸っています。アスファルトから舞い上がった花粉(二次飛散)の影響を、大人よりもダイレクトに受けてしまうのです。これが、都市部でお子様の花粉症が重症化しやすい理由の一つでもあります。
小児科医からのアドバイスとお願い
市川市が花粉の多い地域だと分かると、少し不安になってしまう保護者の方もいらっしゃるかもしれません。しかし、正しく状況を理解し、早めに対策を行うことで、お子様の辛い症状はしっかりと和らげることができます。
ご家庭でできる対策としては、以下のようなことを心がけてみてください。
- 外出時はお子様のサイズに合ったマスクや、花粉対策用のメガネ(ゴーグル)を着用させる
- ツルツルとした素材の上着を選び、家に入る前に玄関先で花粉をしっかりと払い落とす
- 帰宅後はすぐに手洗い、うがい、そして洗顔をして、顔についた花粉を落とす
- 日中の風が強い時間帯の換気は避け、空気清浄機を効果的に活用する
- 外に干した洗濯物を取り込む時は、必ず洗濯物を振ってまとわりついた花粉を少しでも落としてから取り込む
お子様は「目がかゆい」「鼻が苦しい」と上手く言葉で伝えられないことも多いです。無意識に目をこすり続けて結膜炎になってしまったり、鼻水で夜ぐっすり眠れず、日中も機嫌が悪くなってしまったりすることもあります。
「もしかして花粉症かな?」「ちょっと目をこする回数が増えたな」と思ったら、我慢させずに、どうぞお早めに当院にご相談ください。お子様一人ひとりの年齢や症状に合わせた、適切で優しいお薬(飲み薬、点眼薬、点鼻薬など)を処方いたします。
市川市は花粉が多い地域ではありますが、私たち地域の小児科医がしっかりとサポートさせていただきます。お子様がこの春も、笑顔で元気に過ごせるよう、一緒に乗り越えていきましょうね。
何かご心配なことがあれば、いつでもまえだ小児科医院の扉を叩いてください。お待ちしております。
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