まえだ小児科医院の院長、前田です。
毎日寒い日が続いていますが、お変わりなくお過ごしでしょうか。
ニュースでも報じられている通り、明日からは関東地方でも大雪の恐れがあり、その後も数日間は厳しい寒波が居座る見込みとのことですね。
雪が降ると、お子さんたちは「雪遊びができる!」と目を輝かせているかもしれませんが、私たち親としては、交通機関の麻痺や、何よりも「子供が体調を崩さないか」という心配が尽きないものです。急激な気温の低下は、小さな子供の体にとって大きな負担になります。
そこで今日は、現在クリニックで多く見かける病気のことと、この寒波を元気に乗り切るための家庭でのケアについて、少し詳しくお話ししたいと思います。
今、クリニックで増えている「冬の感染症」
この時期、当院の診察室でも特によく見かける病気がいくつかあります。寒波で体力が落ちると、これらの感染症にかかりやすくなるため、改めてチェックしておきましょう。
インフルエンザ(A型・B型)
今シーズンもインフルエンザが猛威を振るっています。突然の38度以上の高熱、関節痛、倦怠感が特徴です。小さなお子さんの場合、熱が高くても最初は機嫌が良いことがありますが、急激にぐったりすることもあるので注意が必要です。変異株も昨年から引き続き流行中ですので、発熱がありましたらしっかり検査して見極めていきましょう。
感染性胃腸炎(ノロウイルス・ロタウイルスなど)
いわゆる「お腹の風邪」です。突然の嘔吐から始まり、水様便(下痢)が続くのが典型的です。脱水症状になりやすいため、こまめな水分補給が鍵となります。
RSウイルス・ヒトメタニューモウイルス
これらは呼吸器に感染するウイルスです。鼻水や咳がひどくなり、ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音が聞こえることがあります。乳幼児は気管支炎や肺炎になりやすいため、咳が長引く場合は要注意です。
溶連菌感染症
喉の強い痛みと発熱、そして体に細かい発疹が出ることがあります。舌がイチゴのように赤くなる(イチゴ舌)のも特徴です。これには抗生物質による治療が必要になります。
なぜ「寒波」が来ると風邪をひきやすくなるの?
「寒いと風邪をひく」と昔から言われますが、これには医学的な理由が主に2つあります。
- ウイルスの活性化と飛散: 寒くて乾燥した空気の中では、ウイルスは空気中を漂う時間が長くなり、感染力も強まります。
- 粘膜のバリア機能低下: 冷たい空気を吸い込むと、鼻や喉の血管が収縮し、粘膜の働きが弱まります。さらに乾燥によって粘膜が傷つくと、そこからウイルスが侵入しやすくなるのです。
つまり、明日からの寒波は「ウイルスにとって好都合」で「子供のガードが下がりやすい」環境を作ってしまうのです。
寒波・大雪の期間中に気を付けたい予防対策5選
それでは、明日からの厳しい寒さを乗り越えるために、お家で具体的にどのようなことに気をつければよいのでしょうか。ポイントを5つに絞りました。
1. 何よりも「加湿」が命です
暖房をフル稼働させると、部屋の湿度はあっという間に20〜30%台まで下がってしまいます。これはウイルスが大好きな環境です。
- 加湿器を使って、湿度を50〜60%に保つようにしましょう。
- 加湿器がない場合は、濡れタオルを室内に干したり、お湯を張ったコップを置くだけでも違います。
- 寝室の乾燥は、朝起きた時の喉の痛みに直結します。就寝中も加湿をお忘れなく。
2. 「着せすぎ」による寝冷えに注意
「寒いから」と、厚手の服を何枚も着せたり、布団をかけすぎたりしていませんか?
子供は大人よりも体温が高く、代謝が活発です。厚着をさせて寝かせると、布団の中で大量に汗をかき、その汗が冷えて逆に風邪をひいてしまうことがあります。
- 基本は「大人マイナス1枚」を目安に。
- 肌着は、汗を吸ってくれる綿素材のものがおすすめです。
- 寝る時は、スリーパーやお腹を守る腹巻を活用し、布団は蹴飛ばしても大丈夫なように調整してあげてください。
3. 体の中から温める食事を
寒さで内臓の動きも鈍くなりがちです。冷たい飲み物やアイスクリームは控えめにし、体を温める食材を取り入れましょう。
- 根菜類(大根、人参、ごぼうなど)を入れたお味噌汁やスープは特におすすめです。
- 生姜やネギなどを少量、うどんやおかゆに混ぜるのも効果的です。
- 朝一番に白湯(さゆ)を少し飲ませるだけでも、胃腸が動き出し、体温が上がりやすくなります。
4. こまめな換気(寒くても!)
大雪や寒波の時は窓を開けるのが億劫になりますが、閉め切った部屋ではウイルスが充満してしまいます。
1時間に1回、5分程度で構いませんので、対角線上の窓を開けて空気を入れ替えましょう。換気をする時は、一時的に上着を羽織るなどして、急激な冷えを防いでくださいね。
5. 雪遊びのあとの「急速保温」
明日以降、雪が積もればお子さんは外に出たがるでしょう。雪遊び自体は心身の発達に良いことですが、濡れたままの衣服は体温を急激に奪います。
- 雪遊びから帰ったら、玄関ですぐに靴下まで全て脱がせましょう。
- すぐに乾いたタオルで体を拭き、温かい服に着替えます。
- できれば、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かって、体の芯まで温まるのがベストです。
もし、大雪で病院に行けなくなったら?
大雪になると、交通機関が止まったり、足元が悪くて病院への受診が難しくなることも想定されます。
もしお子さんが急に発熱しても、以下の条件が揃っていれば、慌てて雪の中を移動せず、一晩お家で様子を見ても大丈夫なことが多いです。
- 水分がとれている(おしっこが出ている)。
- 視線が合い、あやすと笑う、あるいは眠れている。
- 呼吸が苦しそうではない(肩で息をしていない、陥没呼吸がない)。
逆に、「水分が全く取れない」「呼びかけへの反応が鈍い」「呼吸が苦しそうで顔色が悪い」という場合は、救急相談ダイヤル(#8000など)に連絡するか、無理をしてでも医療機関を受診すべきか判断を仰いでください。
また、常備薬(解熱剤や整腸剤)の残りを今日のうちに確認し、もし切れそうであれば、雪がひどくなる前に処方を受けておくのも一つの手です。
最後に:ママ・パパも無理をしないでくださいね
子供が風邪をひくと、看病するママやパパも睡眠不足になり、共倒れしてしまうことがよくあります。
大雪という慣れない環境下では、普段以上にストレスも溜まりやすいものです。
「完璧な予防」を目指す必要はありません。「ちょっと加湿を気にしてみよう」「今日は温かいシチューにしよう」そのくらいの気持ちで十分です。
どうか、保護者の皆様もご自身の体調を第一に考えて、温かくしてお過ごしください。
雪が止んで、また元気な笑顔のお子さんたちに会えるのを楽しみにしています。
何か心配なことがあれば、いつでも相談してくださいね。
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