アレルギー性疾患 〜お子さまの健やかな成長のために〜

近年、アレルギー性疾患を抱えるお子さまが増えてきています。肌のかゆみ、咳、くしゃみ、目のかゆみ、特定の食べ物による体調不良など…日常の中で何気ない症状が、実はアレルギーに関係していることも少なくありません。

今回は、保護者の方々に知っていただきたい「子どものアレルギー性疾患」について、代表的な5つの病気をわかりやすくご紹介します。少しでも気になる症状があれば、早めの対応がとても大切です。

アトピー性皮膚炎

かゆみとたたかう毎日

アトピー性皮膚炎は、赤ちゃんや小さなお子さまに特に多く見られる皮膚の病気で、かゆみと湿疹が特徴です。子どもはかゆくて無意識にかきむしってしまい、症状が悪化することもあります。

原因には、肌のバリア機能の低下や、アレルギー体質、生活環境などが関係しています。治療の基本は、毎日の保湿と、症状に応じた外用薬の使用(ステロイドや非ステロイド薬)です。

保護者としては「ステロイドって使って大丈夫?」と不安になる方もいらっしゃいますが、医師の指示のもとで正しく使えばとても効果的です。最近では、より負担の少ない新しい治療法(生物学的製剤)も登場しています。

小児喘息

咳や息苦しさが続くときは要注意

「夜中になると咳き込む」「風邪が長引くとゼーゼー音がする」——そんな症状があるとき、もしかすると小児喘息の可能性があります。

小児喘息は、気管支の炎症によって空気の通り道が狭くなり、呼吸がしづらくなる病気です。原因としては、ダニやほこり、花粉、ウイルス感染などが挙げられます。

治療の中心は吸入薬(ステロイド薬や気管支拡張薬)による継続的な管理です。発作を起こさないよう、予防的な治療がとても重要になります。お子さまの呼吸の様子や夜間の咳など、保護者の観察が早期発見のカギになります。

アレルギー性結膜炎

目をこするクセに注意

目がかゆくて赤くなったり、涙が止まらなかったりする場合は、アレルギー性結膜炎の可能性があります。特に春先のスギ花粉や、通年性のダニ、ハウスダストが原因となることが多いです。

「目がかゆい」と言われると、つい様子を見てしまいがちですが、こすりすぎると角膜に傷がつくこともあり、注意が必要です。治療には、抗アレルギー点眼薬や必要に応じてステロイド点眼薬が用いられます。

外出時に花粉対策として眼鏡を使ったり、帰宅後に顔を洗ったりすることで症状を軽減できます。

アレルギー性鼻炎(花粉症など)

くしゃみ・鼻水が止まらない

「朝になるとくしゃみが止まらない」「鼻づまりで夜ぐっすり眠れない」——そんな症状は、アレルギー性鼻炎のサインかもしれません。

お子さまにとって、鼻づまりは集中力の低下や、睡眠の質の悪化にもつながり、学習や成長にも影響します。

治療には、抗ヒスタミン薬の内服や点鼻薬が使われ、最近では体質改善が期待できる舌下免疫療法も選択肢となっています(5歳以上から可能です)。症状が強くなる前に、早めの対策が効果的です。

食物アレルギー

「食べること」に不安を感じたら

特定の食べ物を食べた後に、じんましんが出たり、お腹が痛くなったり、咳き込んだり…中には命に関わる「アナフィラキシーショック」を起こすこともあるのが、食物アレルギーです。

乳児期に多く見られますが、学童期や思春期でも突然発症することがあります。卵・乳・小麦・そば・ピーナッツなどがよく知られています。

基本は原因となる食材を正しく除去し、必要に応じて栄養の代替を考えること。近年では専門施設での経口負荷試験や、耐性をつけるための経口免疫療法など、専門的な管理のもとで治療を進めるケースもあります。自己注射薬(エピペン)の処方も必要に応じて行われます。

「もしかしてアレルギーかも」と思ったら、当院へご相談ください

お子さまのアレルギー症状は、成長や環境によって変化することが多く、保護者の方にとっては日々の心配が尽きないものです。しかし、正しく診断し、適切な治療と生活管理を行えば、アレルギーと上手に付き合うことができます。

「肌のかゆみがなかなか治らない」「咳が長引いている」「ある食べ物を食べると調子が悪くなる」など、少しでも気になることがあれば、どうぞお気軽に当院にご相談ください。

お子さま一人ひとりの体質や生活に寄り添いながら、安心して過ごせる毎日をサポートさせていただきます。

この記事の編集者

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まえだ小児科の院長の前田正人(まえだまさと)です。 当サイトの記事は私が執筆・監修をしております。 何か気になる点がありましたらお気軽にお問い合わせください。

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