夏に増える「アデノウイルス(プール熱)」って?正しい対処法と予防のポイント

夏になると、保育園や学校で「プール熱」が流行することがあります。正式には「咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ)」と呼ばれ、アデノウイルスによって引き起こされる感染症です。発熱、のどの痛み、結膜炎(目の充血)などの症状が特徴で、乳幼児を中心に感染が広がります。

今回はアデノウイルスによるプール熱について、症状、感染経路、家庭での対処法、登園のタイミングなどを詳しくご紹介します。

アデノウイルス(プール熱)とは?

アデノウイルスは非常に感染力の強いウイルスで、40種類以上の型があります。その中でも「咽頭結膜熱」は主にアデノウイルスの3型、4型、7型などによって引き起こされます。

夏に流行することが多く、プールを介して感染することが多いことから「プール熱」とも呼ばれています。ただし、プール以外でも日常生活での接触により感染することがあります。

主な症状

アデノウイルス感染による咽頭結膜熱の典型的な症状は以下の通りです。

  • 高熱:38〜40℃の発熱が3〜5日続くことが多い
  • のどの痛み:咽頭炎を起こし、のどが真っ赤に腫れる
  • 結膜炎:目が赤く充血し、涙や目やにが増える
  • 全身のだるさ:発熱とともに倦怠感や食欲不振を伴う

いずれか一つの症状だけが出るケースもあれば、すべてがそろう場合もあります。大人が感染すると症状が軽いこともありますが、子どもでは比較的強く出やすいです。

感染経路と予防法

アデノウイルスは以下のような方法で感染します。

  • 飛沫感染:咳やくしゃみ、会話によるウイルスの飛散
  • 接触感染:ウイルスがついた手や物を介して口や目に触れる
  • プールを介した感染:共用の水やタオルから目や口にウイルスが侵入

予防のポイント

  • 手洗い・うがいを徹底する(特にトイレ後・食前・外出後)
  • 目をこすらないよう注意する
  • タオルや洗面道具の共用を避ける
  • プールの後はシャワーで全身を流す
  • 感染者との接触を控える

家庭での対処法

アデノウイルスには特効薬がないため、基本的には対症療法での対応となります。

1. 熱が高いときは

熱が高く、ぐったりしている場合は冷やしたタオルやアイスノンなどで体を冷やしてあげましょう。解熱剤の使用は医師の指示に従いましょう。

2. のどの痛みで食欲がないときは

刺激の少ないやわらかい食べ物(おかゆ、ゼリー、スープなど)を与え、無理に食べさせず水分補給を優先します。

3. 結膜炎がある場合

目やにが多い場合は、ぬるま湯で湿らせたガーゼでやさしく拭き取ります。目をこすらせないよう注意し、清潔な手で処置しましょう。

4. 水分補給を忘れずに

発熱時は汗をかきやすく、脱水になりやすいため、こまめな水分補給が重要です。お茶や経口補水液、果物のジュースなどがおすすめです。

病院を受診する目安

次のような症状が見られる場合は、医療機関を受診してください。

  • 熱が5日以上続く
  • 水分がとれず、尿の回数が減っている
  • 目の充血がひどく、膿のような目やにが続く
  • ぐったりして反応が鈍い
  • 呼吸が苦しそう、咳がひどい

登園・登校の基準

アデノウイルス感染症(咽頭結膜熱)は、学校保健安全法により「出席停止」の対象となっています。以下の条件を満たすまでは登園・登校を控えましょう。

  • 解熱後2日以上経過している
  • 目の症状(結膜炎)が改善している
  • 食事や水分が通常通り摂れている

復帰の際には、医師の診断書や登園許可証が必要な園や学校もありますので、事前に確認しておきましょう。

まとめ

アデノウイルスによるプール熱は、子どもにとってつらい症状が出ることもありますが、適切な対処をすればほとんどは数日で回復します。感染を広げないためには、日頃からの手洗い・うがいといった基本的な衛生管理が大切です。

家族みんなで予防意識を高め、元気に夏を過ごせるようサポートしていきましょう。

この記事の編集者

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まえだ小児科の院長の前田正人(まえだまさと)です。 当サイトの記事は私が執筆・監修をしております。 何か気になる点がありましたらお気軽にお問い合わせください。

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